身体疾患と不眠
呼吸器系、心血管系、消化器系、筋骨格系疾患などの身体疾患では不眠症状が出現することがあります。
特に臨床的に遭遇することが多く注意を要する身体疾患による不眠について述べます。
身体疾患に伴う不眠では必ずしも身体疾患だけが原因ではなく、心理的社会的要因などにも配慮が必要です。
身体疾患に伴う不眠の有病率は基礎となる身体疾患によって異なるが、特に呼吸器系疾患、疼痛を伴う疾患では不眠症状が出現しやすいです。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患の臨床症状について
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方は不眠症状を伴いやすいでしょう。
入眠困難や呼吸障害、息切れ、夜間の咳のための頻回の中途覚醒、覚醒時の不安感などの他、早朝の頭痛も認められることがあります。
また、うつ状態を合併することが多く、うつ状態に伴う不眠が出現することもあります。 COPDの治療薬剤であるテオフィリンなどのキサンチン系薬剤はカフェインと同様の覚醒作用があり、不眠症状を悪化させることがあります。
睡眠中の上気道の閉塞性無呼吸が合併したオーバーラップ症候群では、右心不全へ進展する場合もあり注意が必要となります。
診断として
COPDの臨床的経過と一致した不眠があれば診断できます。オーバーラップ症候群では終夜睡眠ポリグラフ検査による評価が必要です。
治療方法
COPDの方の不眠症状に対して安易に睡眠薬を処方するべきではありません。高炭酸ガス血症(PaC02≧45mmHg)の存在があれば睡眠薬は禁忌です。
また、慢性呼吸不全の急性増悪の際には不眠症状を主訴とすることがあるが、その際には呼吸不全の治療が主体となります。
睡眠薬を使用するにあたっては、上気道や呼吸筋への影響を考え、筋弛緩作用の少ない短時間作用型の睡眠導入薬ソルピデム(マイスリー(g))、ソピクロン(アモバンR)を選択するとともに、過量投与にならぬよう注意し、薬剤服用後も呼吸機能への影響について注意する必要があります。
