寝だめについて
一般的に、「明日は忙しいから、明日眠る分まで今晩眠っておこう」という寝だめはできません。
次の日のことを考えて、いつもより早く床についても必ずしも早く眠れるわけではなく。むしろ、いつも眠りにつく2~3時間前はもっとも眠りにくい時間帯であることがわかっています。
したがって、寝だめを試みた経験のある人は多いが、成功したという話は聞きません。
ただし、睡眠不足が起こると、これを解消するように自然に睡眠が長くなります。
睡眠の質と量は、眠る前の時点で、どのくらい睡眠が必要かに応じて、われわれが意識していないところで、脳の睡眠中枢により調節されています。
必要な睡眠量が満たされると、後は浅い眠りが続くだけで、それ以上熟睡することはできません。
眠りの必要性
「眠らないとどうなるか?」は古くから興味ある疑問でした。
ヒトでは1965年に米国の17歳の男子高校生が参加した断眠実験で達成した264時間12分(11 日間と12分)が最高記録です。
断眠開始後4日目には気分が沈みがちになり、イライラが出現し、物が人の姿になって見える幻視も出現し、「自分が周りの人から嫌われている」という妄想的な訴えもみられます。
7日目から8日目には言葉が不明瞭となり、記憶力・集巾力の低下が目立つようになり、11日目には思考力もかなり低下しました。
しかし、さまざまな身体の機能には問題はありませんでした。この後この高校生は自宅で14時間45分眠り、目覚めた時にはすべて正常に戻っていました。
ドイツで行われた別の実験では被験者は4日目には立つたまま眠り込んでしまいました。目覚めているようにみえても、脳波の上ではごく短時間の瞬眠記録が繰り返しみられました。
このように、ヒトでは眠らないことで病気になることはなく、目覚めていられなくなり眠り込んでしまいます。しかし、長時間眠らないでいることによって、集中力・思考力・記憶力などの能力が低下し、気分・情動も不安定になります。
また、長期間にわたる睡眠不足があると、血圧上昇や耐糖能低下が出現することがわかっています。
動物では、強制的に運動を続けさせる方法などを用いて、断眠の実験が行われています。いずれも長期間の断眠の後に体温の低下、体毛の脱落などがみられ、死亡してしまいました。
動物では睡眠をとらせないように何らかのストレスを加えざるを得ないため、こうしたストレスと断眠との相乗効果で死に至った可能性が高いです。
